『渚にて』   ~静かなほど、恐ろしい・・・

今日はたまたまNHK.BS第二で
『渚にて』
というアメリカ映画を観ました。
タイトルだけだと、恋愛ものの、甘いストーリーみたいでしょ?
でも。。。。

■公開: 1959年
■監督: スタンリー・クレイマー
■原作: ネヴィル・シュート
■脚本: ジョン・バクストン

■出演: グレゴリー・ペック(「ローマの休日」「オーメン」「白鯨」)
     エヴァ・ガードナー(「裸足の伯爵夫人」「モガンボ」)
     アンソニー・パーキンス(「友情ある説得」「さよならをもう一度」「サイコ」)
     フレッド・アステア(「踊る紐育」「足長おじさん」「タワーリング・イン・フェルノ」)他

■ストーリー
1964年、第三次世界大戦が勃発。
核爆弾による戦闘で地球上は放射能に汚染されてしまい、北半球は壊滅状態となる。
死の灰が近づきつつあった南半球オーストラリアのメルボルンに1隻の原子力潜水艦が入港。
潜水艦の船長タワーズ(グレゴリー・ぺック)はメルボルンで迫り来る死を待つか、
人類が絶滅した祖国アメリカに戻るかの決断を迫られる。
そんな時、放射能で死滅したはずのサンディエゴの町からモールス信号を受信。
調査のため、原子力潜水艦はサンフランシスコに向かうが、その正体は・・・・
    (「素晴らしき哉、クラシック映画」参照)
e0169157_18181261.jpg







■感想
この映画は静かなアメリカ映画です。
放射能汚染で、北半球が人類滅亡しているのに、オーストラリアの海岸は
何事もないように、美しく穏やか・・・
でも、刻々と迫る「逃れられない死」。
死を目前に、愛を確かめ合う男女、安楽死できる薬を待つ長蛇の列、
レースで勝った後愛車で排気ガス死を選ぶ男など・・・
どれもこれも、あくまで静寂で、直接的な描写も無い。
これが、怖いんです。。
本当に人類滅亡を知っていたら、待つ身は、そうかもしれません。
あらゆるパニック物が、この映画の後も流行りましたが、
おそらく一番怖く、悲しく、美しい「滅亡もの」なんじゃないかな?
こういう奇をてらっていない映画作りは、返って感情を深く移入しながら観てしまいます。

役者が全て適役☆
グレゴリー・ぺックという役者は「大根」と自負していましたが、存在そのものが誠実そうで、控えめなのに華がある。。
こういった大きなテーマのものでも、ホラーでも、恋愛ものでも、とにかく自分を弁えて演じています。
エバ・ガードナーは大好きなタイプの姐御肌女優。
綺麗で、性格きついけど、情がある。実にイイ女です☆
トニパキ(アンソニー・パーキンス)は、「サイコ」があまりに似合っていましたが、繊細で、優しい。。
そんな彼の本質がよく出ています。
若い妻と赤ん坊と、薬で心中を決断するシーン・・・・泣いてしまった。。
フレッド・アステアは、ダンス抜きです。
彼の味わい深い自然な演技はまた、涙を誘います。
「せめて死ぬ前にタップを踊って!!」
なんて思うこともなく、演技者アステアに惚れました。

映像的にも素晴らしい☆
特に海の撮り方、潜水艦の浮き上がる時の大きな波など・・・
おおおおおーーーーっと思わず目を見張る迫力で画面に訴えかけます!

嗚呼。。。問題作!!
ぜひぜひ機会あればオススメです☆
迫りくる人類の死は、乾いてて静か・・・・・・怖い。
[PR]
Commented by chikahachi at 2009-08-01 09:42
お久し振りです。
これ、中学の時に初めて見て、震えました。

レースシーンのくだりも印象的でした。
モールス信号の正体が分かり、任務を終えた科学者ジョン・セイモア・オズボーンが納屋の中でシートを取り払うと、フェラーリ750Monzaが…
人類滅亡までに最後にフェラーリでレースを。
男のロマンですね。

人類の週末を迎えた時の、それぞれの生き様。
小さいながらに考えさせられました。
Commented by mokkori_mattari at 2009-08-01 11:22
>chikahachiさん
お!お久しぶりで~す☆
なんですってえ!?中学の時にこの作品を観たとは。。。
chikaさんは映画好きなんですね♪♪
そうそう!レースシーン、緊迫感があって、次々事故が起こる中、
アステアが圧勝!初めてのレースなのに。。。悲しい気持ち。。
愛車・フェラーリの排ガスで終焉、というのも凄く印象的でした。
アステアがパーキンスに
「君は(共に死ねる)愛する人がいて、幸せじゃないか。」
の台詞も、彼がさらっと言うからいい。
彼はどこか日本の昔の燻し銀のような俳優と共通します。

とにかく、終末を迎える恐ろしく悲しい映画なのに、人間描写が細やかで素晴らしいと思いました。
スタンリー・クレイマー監督、才能あるし職人です☆
Commented by chikahachi at 2009-08-01 14:56
映画、あんまり見てませんね。
これは団体干渉ではないんだけど、映画館じゃないホールでの上映会みたいなのに、たまたま入って見たんだったと思います。
何気なく見に行って、衝撃を受ける作品でした。

今もう一度見たら、また違った視点で見れるかも知れませんね。
きっと泣いちゃうと思います(*^^*ゞ。
Commented by mokkori_mattari at 2009-08-02 10:36
>chikahachiさん
映画館じゃないホールでの上映会だったんですか!?
そういうのってたまにありますよね。
気の利いた映画を安くやってくれる企画、大好きです。
中学の時に観た映画って何故か鮮明に覚えていますよ~
その時感動したり、影響を受けた映画は、今観直してもやっぱり良く出来てる☆
きっと一番感受性が鋭い時期だったからでしょう・・・・
>きっと泣いちゃうと思います(*^^*ゞ。
絵文字、可愛いな~~~~~
泣きますよ、うるうるっと・・・・・
Commented by NOIR at 2009-08-04 11:46 x
 ども、ご無沙汰です(定期的にウォッチングはしてるんですが)。
<(_ _)> ゴメンネ


 『渚にて』、SF小僧だったので小学生か中学生の時にTVで見たような…。

『渚にて』 T.S.エリオット

このいや果ての集いの場所に 
われら、ともどもに手さぐりつ言葉もなくて
この潮満つる渚に集う
かくて世の終わり来たりぬ
かくて世の終わり来たりぬ
かくて世の終わり来たりぬ
地軸崩れる轟きも無く ただひそやかに

 映画のタイトルにも引用された、この詩がピッタリくるような静かな怖い映画だったという記憶しかないにゃあ。

 『渚にて』、2000年にオーストラリアのテレビ映画としてリメイクされてるそうですが。
ttp://www.ywad.com/movies/781.html
評判は良いのだけれども、見たいような見たくないような…。
Commented by mokkori_mattari at 2009-08-04 23:56
>NOIRさん
うわ~~~ん!!おひさしぶり~~☆
夏バテしてませんでしたかい?
お!観てましたか?やはり中高生のころ・・・?
エリオットの詩、いいねえ~
映画もこの詩にピッタリでした。
今一度見直すと、実によく出来てる映画です。心理描写が細やかで、それぞれの人生が伝わり、脚本がイイ。
役者もみんなイイ!!モノクロだから余計、静かに浸透する怖さがあります。

ん!?オーストラリアのテレビでリメイク??
サイト、見ましたが・・・・映画が良いだけに・・・
見たいような見たくないような・・・。(まんまNOIRさんのパクリ@)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by mokkori_mattari | 2009-07-31 18:52 | 映画・演劇 | Comments(6)